1.技術契約書の種類 

 技術契約書の種類としては、下記のようなものがあります。

  • 共同研究・共同開発契約書
  • 技術援助契約書
  • 研究委託契約書
  • 関連会社からの研究委託契約書
  • 開発委託契約書
  • 開発受託契約書
  • 秘密保持契約書

 2.契約書・覚書・念書の相違点 

契約書・覚書・念書の効力は書面の種類に関わらず同一です。ただし覚書は、契約書の付随事項や簡単な事項の約定に使用するのが一般的です。念書は、一方が他方に対して差し入れる形式をとります。

 3.契約締結の名義人 

相手方の名義人は、できるだけ代表取締役または技術担当の取締役以上の役職者とする必要があります。(一般的には代表権のある技術担当取締役)それ以外の者の場合は、その相手が技術提携の最高責任者である場合に限り、名義人とすることができます。(部長、研究所長など)  

 4.官公庁および付属研究機関との契約 

国公立の組織または付属の研究機関などで、規定や契約書様式を制定している場合は、これに従わなければなりませんが、自社の権利に関する規定が不十分なときもありますので、これを補うために、別途覚書などを交換することを考慮する必要があります。

 5.標準契約書の適用 

契約書の作成にあたっては、技術提携の具体的内容に即して、標準契約書および相手方作成の契約書案のそれぞれの条文を再検討し、自社に不利にならないよう考慮すべきですが、表現上の問題については、相手方の契約書案を尊重する必要があります。

 6.契約折衝の基本心得 

  1. 契約締結の目的、必要性などを十分検討し、社内関係部門の了解を得たうえで、主張すべきことは、はっきりと主張する必要があります。また、その際に不用意な口約束を相手側とすることがないように留意しなければなりません。よくある例として設備の貸与、贈与など手続が必要なことを口約束して、後に社内で問題となることがありますので、口約束は絶対にしないように注意して下さい。

  2. 社内の契約担当部門、経理部門、購買部門等の意見を早めに聞き、必要に応じて折衝への直接参加を要請するようにします。

  3. 契約締結時までは、軽はずみな機密情報の提供、金銭授受、契約内容の実施を行わないように注意して下さい。一般に契約なしで行動して失敗した責任は本人および上司にあると判断されます。
     

 7.契約の成立 

契約は、契約書に相互が調印したときに成立するものではなく、技術提携にについて「相手方と合意があったとき」に成立します。契約書とは、その合意を明確にするとともに後日の紛争を避けるために作成される文書なので、契約の発行時期を必ずしも契約書の日付と同一にする必要はなく、合意のあった日にさかのぼって発効させてもかまいません。ただし、「本契約の締結から○○年間」といった規定の場合は、契約締結の日と技術提携の実際の開始日が同一である必要があります。

 8.契約締結後の処理 

  1. 社内の周知徹底

技術契約を担当したものは、社外との技術契約が締結された場合は、速やかに関係部門に契約書(写)送付して、周知徹底をはかる必要があります。

  1. 契約規定の厳守

契約の規定は自らが守らなければなりません。

a)通知義務
b)機密表示義務
c)紛争処理責任
d)機密保持義務
e)義務の範囲

また、これら契約の規定を相手がきちんと守っているかを常に調査する必要があります。