発明した技術等を独占的に実施する事ができる特許権が、どのような効力を持っているのかを簡単に説明します。

 1.差止請求権 

正当な権利を持っていない他人が、特許発明を実施している場合に、侵害行為を中止させる権利を差止請求権といいます。具体的には、特許発明の侵害品を作っていた製造ラインの除却、侵害品の原料の廃棄等を要求することができます。また、将来的に侵害するおそれのある、競争相手の製造プラントや工場の建設中止を要求することもできます。

 

 2.損害賠償請求権 

  • 正当な権利を持っていない他人が特許発明を行って利益を得ていた場合に、特許権者が本来得るべき利益を横取りされたとして、損害賠償を請求することができます。

 3.不当利得返還請求権 

  • 損害賠償請求権は時効が3年なので、侵害期間が長く損害賠償請求権では時効が成立してしまう場合は、時効が10年である不当利得返還請求権で失った利益の返還を要求する事ができます。損害賠償請求権と不当利得返還請求権は同時には請求できませんので、注意して下さい。

 4.信用回復措置の請求 

  • 侵害者の粗悪な偽物の販売により、特許権者の業務上の信用が害された場合は、新聞や業界紙に謝罪広告を掲載させる等の信用回復措置を請求することができます。

    しかし、特許権を行使しなければならないということは、特許を取得する本来の目的である他社への抑止力が働かず、他社の模倣による特許権侵害が発生し、企業としては危機的な状況となっているということを理解して下さい。企業にとって特許権は行使せず、その抑止力により自社製品を守るのが理想です。ですから、特許権をどんどん使おうなどと言う戯言は、絶対に信じないようにして下さい。